無題
なんだか目がかすむ。瞼が右も左もけいれんする。体中どこかがびくびくっとけいれんする。手は震える。こうして、不調なことがだんだん増えていって、あぁ調子悪い、痛い、かゆいと言いながら、いつとはなく死ぬのかな。
人間、発生した時にもう、死ぬのは宿命づけられているようなもので仕方ないことだが、残りの人生、少しでも楽しく穏やかに過ごしたいと思うのはきっと普通なら万人が抱く思いのはずで、俺も例外ではない。死ぬ間際に「昨日のタモリ倶楽部、楽しかったな」ということくらいしか要素がないのは悲しい。
そのこと一つだけでも幸せだと、俺には思えない。こうして寝たり起きたり、パソコンをやったりして死んでいくんだ。
こうしていられるだけで充分に幸せだとは、どうしても思えない。そんなに人間ができてはいない。溜息ばかりが出る。幸せを自ら奪っているような生き方だ。何故幸せを手放すようにしか生きられないのか。全く自分はダメ人間。最低最悪の失敗者。負け組。出来損ない。マイナスの要素しかないじゃないか。あの6年半の記憶があるだけでいいなんて、これっぽっちも思わない。罰があたったんだ罰が。
俺は、生まれた時にはもう、こうなると宿命づけられていた。自分の人生を儚んでもどうしようもないけれど、儚むくらいしか手立てはなく、精神疾患を患っていない人が言う、「儚んでばかりいないで、前に進め」「何かを始めてみろ」的な説教はもう飽きた。精神を病んでいない人の基準で物事を論じられても無意味だ。それができたなら俺は完治していることになる。それができない人間を恫喝し、罵倒することで満足に浸っている健常者をたくさん見てきたし、かつては精神疾患患者だったが、今はもう治っている、という人も同様。足かせが外れた途端、きっと人は、悪いことなんて忘れてしまうのさ。忘却というシステムがあるから、人は生きていられるんだよ。
俺の忘却システムは、うまく機能していないようだ。
死んだら死んだで、多分地獄が待っているだろうから、死んだら楽になるだろうという考えは持っていないが、…うーん…俺は、自分という存在が初めからなかったことにしたい。過去から未来永劫「無」となりたい。
この瞬間に「無」になれたらいいのに。